医療法人社団 明芳会 横浜新都市脳神経外科病院

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認知症の基礎知識

認知症とは

「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が壊れて減ってしまったり、働きが悪くなったりすることで、脳の働きにさまざまな障害が起こり、日常生活が正常に送れない状態を指す総称です。決して「認知症」という単独の病気が存在する訳ではありません。また、今現在日本には認知症の状態にある患者さんが600万人存在すると言われ、2025年には65才以上の人口の5人に1人が認知症を発症すると予測されており、誰もがなりうる病態と言えます。
ちなみに、2017年に厚生労働省より発表された「平成28年国民生活基礎調査結果の概要」の中で、「介護が必要となった主な原因」を見てみると、要介護度1〜4(※1)までの原因の1位は全て認知症が占めています。
高齢化が進む現代だからこそ、認知症の「早期発見・早期治療」は必要不可欠です。

※1要介護とは、食事や入浴などの日常動作において、介助が必要な状態。
例)要介護4:寝たきりに近い生活で、介護なしには日常生活が送れない状態。

加齢による「もの忘れ」と認知症による「もの忘れ」の違い

前者は、人が加齢と共に脳の機能が衰えた、生理的で年相応なもの忘れの事を指します。
例えば、あまり会わない取り引き先の人の顔は思い出せるが、名前を忘れてしまった。」や、「約束のお店の名前を忘れてしまった。」といったケースです。このように、エピソードの一部を忘れてしまう場合は、加齢による「もの忘れ」の場合がほとんどです。
一方で、「家族の名前が思い出せない。」や「約束したこと自体を覚えてない」などの場合、「認知症」の可能性が高いと言えます。
また、最も簡単な認知症の見分け方は、
①「あなたは何歳ですか?」
②「あなたの誕生日はいつですか?」
この2つの質問を両方間違えた場合は、認知症の可能性が90%以上と言われています。

もの忘れだけじゃない!「認知症の症状」

認知症の症状として最も知れているのは、「もの忘れ」ですが、脳のどの部分にダメージを受けているかによって、認知症の症状は違います。
例えば、【頭頂葉】と【側頭葉】の機能が低下すると、計算が出来なくなります。
よく認知症の検査で、「100から7を引いてください」という問題を出します。正解は「93」です。しかし、認知症の方の場合は、「100」と「3」の印象が残ってしまい「103」と答えてしまうのです。

また、【後頭葉】の機能が低下すると、視覚からの認識する機能が低下します。その場合、右の図にもあるように、同じ絵を描こうとしても、「なにか違う」ということはわかるものの、どうしても同じものが描けないのです。
また、思考や理性を担う【前頭葉】の機能が低下すると、穏やかな性格の方がいきなり怒りっぽくなったり、何事にも無関心無気力になる等の症状がでます。