認知症の種類について
認知症の種類
認知症の原因となる疾患はおよそ70種類と言われています。
その中で、大部分を占めるのが、【アルツハイマー型認知症】で、【レビー小体型認知症】【脳血管性認知症】と続きます。原因によっては、症状を抑制し進行を抑えることが出来る、あるいは治すことが出来る認知症もあります。つまり、認知症の原因によって治療法が変わってくるのです。したがって、下記症状に該当する・心当たりのある方は、早期段階での、もの忘れ外来受診をお勧め致します。

アルツハイマー型認知症
患者数が最も多いアルツハイマー型認知症は、男性よりも女性に多くみられるといわれており、下記のような症状がみられます。
記憶障害
エピソード自体を忘れてしまったり、何度も同じことを繰り返して話す。昔のことは覚えているのに、数分前に起きたことを忘れてしまう等の症状です。
見当識障害
日付や時間が分からず、例えば季節感のない服装をしてしまう(時間の見当識障害)。自分の今いる場所がわからず迷子になったり、自分の家の中のトイレの場所が分からなくなり(場所の見当識障害)、進行すると、家族を他人と間違えたりしてしまいます。
理解/判断力の低下
いつも行えていたものの手順が分からなくなってしまう症状です。これにより、例えば片づけられなくなったり、料理の味付けが変わったりすることがあります。
実行機能障害
アルツハイマー型認知症をはじめ、多くの認知症の初期症状として現れます。物事を計画的や効率的に行えなくなる症状で、例えば、料理や洗濯や掃除など複数のことをこなせなくなります。また、調味料を切らした時に他の調味料で代用するなど、臨機応変に対応できないのも特徴です。
失語
唇や舌などの構音機能に問題がないのに、伝えたい言葉が出てこない、相手の言葉が理解できない等の症状。
失認識
目・鼻・耳・などの感覚器官に異常はないのに、見えてる物や音の認識ができない状態です。例えば、車をみても車と分からない。触れられているのはわかるが、触れられている感覚がない等です。
失行
運動機能に異常はないのに、例えば、ボタンを留められなかったり、鍵を開けられない。衣服を前後ろ逆に着てしまう等の症状です。
レビー小体型認知症
特異なタンパク質が神経細胞にたまり、レビー小体という変性した細胞が原因で生じる認知症です。他の認知症よりも進行がはやいと言われており、アルツハイマー型認知症と比較するともの忘れ症状は軽度な傾向があるものの、認知機能が良くなったり悪くなったりするなど、症状が変動するのが特徴です。なお、女性よりも男性に多いといわれています。その他、レビー小体型認知症の症状は以下の通りです。
幻視/妄想
知らない人が家の中にいる。や、家族にお金を盗まれた。などの症状です。比較的軽度な時期から、幻視や妄想が出現することが多いと言われています。
パーキンソン症状
レビー小体とは、レビー小体型認知症だけでなく、パーキンソン病でも出現します。したがって、パーキンソン病でみられる【手が震える、動作が遅くなる、筋肉がこわばる、急に止まれない】などの運動機能の症状が出現します。なお、パーキンソン病はこのレビー小体が脳幹に集まるのに対して、レビー小体型認知症の場合、大脳皮質に集まると言われています。
自律神経の障害
立ちくらみ、めまい、失禁、失神などが起こる場合があります。
睡眠時の異常行動
眠りの浅い睡眠(=レム睡眠)時に、暴れる、大声を出す、手足をばたつかせるなどの異常行動を「レム睡眠行動障害」といい、レビー小体型認知症患者によくみられる行動です。
脳血管性認知症
脳出血や脳梗塞など脳血管障害が起こることにより、脳の血流が阻害されることで脳細胞が壊れてしまいます。その結果、壊れた細胞の部位に応じて認知症だけでなく、運動障害や言語障害など様々な症状が伴う場合があります。障害を受けていない部位の機能は正常なため、出来ることと出来ないことの差が激しいことや、初期段階では、失語・失行・失認識もみられます。
治る認知症とは?
下記の疾患によって起こる認知症は、治すことが可能な認知症です。
①正常圧水頭症(iNPH)
脳を保護している脳髄液が頭蓋内に過剰に溜まることによって、脳を圧迫することで、もの忘れなどの認知症症状を引き起こします。この脳髄液を排液することで、症状が改善されます。
②甲状腺機能低下症
身体の新陳代謝(エネルギー代謝)を活発にする甲状腺ホルモンが、何らかの理由で不足している状態により、頭の働きが低下することで物覚えが悪くなったり、被害妄想や無気力など認知症でもみられる症状が出現します。この場合は、ホルモン剤の服用など内科的治療を行います。